飴細工を教えてくれる人を見つけることは容易でなかった。飴を煮るすべも知らず、細工の仕方もよくわからない私は、試行錯誤を繰り返し、寝る間も惜しんで練習をした。失敗も重ね、ひどいやけども負った。それでも、毎日何かを発見して自分の夢に近づいてゆくことが、どんな苦労にも増して喜びだった。

　自分が納得できないものは、出さない。少しでも気に入らないものがあれば作り直した。飴細工は、熱い飴が形を変えて完成品に仕上がるのを見てもらうのがだいご味。作り上げる過程でも、どのように作れば見てくださる人がおもしろいのかを考えながら練習に打ち込む。鏡の前で練習することもあった。

　私のこだわりは、見てくださる人の顔がほころぶようなかわいらしい飴を作ること。

　飴を作る技術だけでなく、それを見ていただける人とのコミュニケーションを大切する。ひとつのきっかけがあれば、初めての人でも楽しくおしゃべりもできる。飴細工はそうした点でよいきっかけとなった。

　生来、恥ずかしがり屋で人見知りの強かった私でも、飴細工に打ち込んでいる時は初対面の人とも楽しく会話ができた。いろいろな人と言葉を交わし、笑いあえることで心が元気になってゆく。

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