【一縷(イチル)の任を以て、千鈞(センキン)の重きを係(か)く】と訓読みされまして
危険の甚だしいことを表した四字熟語です。
【縷】は、糸+婁(ル)から作られた形声文字です。意味は「いと」です。
【鈞】は、金+匀(キン)から作られた形声文字です。重さの単位を表します。
1鈞は7.7キログラムですから、1000鈞は7700キログラムとなります。
一本の糸がどのくらいの太さか分かりませんが、8トン近い重量は無理ですよね。
前漢の文学者である枚乘(バイジョウ)が、「呉楚七国の乱」の首謀である呉王:濞(ヒ)にたいして挙兵を止めるように諫めた文書、「上書して呉王を諫む」に記載があります。
夫(そ)れ一縷(イチル)の任を以て、千鈞(センキン)の重きを係(か)け、
そもそも一筋の糸の荷物として千鈞の重さの物を繫ぎ、
上(かみ)之を無極の高きに懸(か)け、
これを上は限りなく高い所に引っ掛け、
下(しも)之を不測の淵に垂るれば、
下は限りなく深い淵に垂れ下げるならば、
甚愚(ジング)の人と雖も、
甚だ愚かな人であっても
猶ほ其の將に絶えんとするを
皆その糸が今にも断ち切れそうなのを
哀しむを知るなり。
恐れるはずです。