文章が難解で堅苦しく、理解しにくいことを表す四字熟語です。
【佶屈】の「キックツ」は語尾が「ツ」で終わる畳韻の擬態語です。
意味はぎくしゃく、ごつごつから文章がなめらかでなく読みずらい意味になりました。
【聱牙】の「ゴウガ」は語頭が「ガ行」で始まる双声の擬態語です。
意味は【佶屈】と同様ぎくしゃく、ごつごつから、文章が難解であることを意味します。
韓愈の「進学解」にでています。「進学解」は「学問を進めるための解明文」と言う意味で、
学殖がありながら世に用いられない一人の博士の自己弁明を滑稽に述べたものであります。
この先生の文章というのは
上規姚姒,渾渾無涯。
上は姚姒(ヨウジ)にて,渾渾として涯無きに規(はか)る。
上代でいえば舜や禹の文、『書経』の尭典・舜典、禹貢などの、素朴円満で、
含蓄の涯(はて)しなく深い文章を規準にされている。
周誥殷盤,佶屈聱牙。
周誥(シュウコウ)に殷盤(インバン)にして,聱牙(ゴウガ)を佶屈(キックツ)する。
周代の告諭文である大誥・康誥、殷の盤庚の告文などの読みにくくわかりにくい
表現の文章などあるのです。
春秋謹嚴,左氏浮誇。
春秋の謹嚴にして,左氏 浮誇なり。
『春秋』の謹み深くきびしい筆法、その『春秋』左氏伝の根拠なく大げさな文章もあります。
易奇而法,詩正而葩。
易の奇にして法ある,詩の正にして葩(はな)なるもの」 と。
『易経』のすぐれて面白く法則の整った文章、『詩経』の中正で花やいだ詩篇なども
基準にされているのです。