紅の桃の花と緑の柳におおわれた春景色の美しさを表した四字熟語です。
【桃紅柳緑:トウコウリュウリョク】、【柳緑桃紅:リュウリョクトウコウ】、【紅桃緑柳:コウトウリョクリュウ】などの表記があります。
王維の「洛陽女児行」という七言×20句の詩の6句目に出てきます。読み下し文と私訳を6句まで書きます。
洛陽の女児 対門に居る
洛陽の美女 向かいの家に住む
纔可(ようや)く顔容(かんばせ)十五に餘(あま)る
年のころなら十五に少し
良人は玉勒(ギョクロク)の驄馬(ソウバ)に乘る
夫が乗るは 玉の轡(くつわ)の葦毛の良馬
侍女は金盤に鯉魚(リギョ)の膾(なます)
侍女のはこぶは 金盤に鯉なます
画閣と朱樓(シュロウ) 盡く相い望み
壁画の堂 朱塗りの楼が並び立ち
紅桃 緑柳 軒に垂れて向う
紅い桃 緑の柳 軒端に垂れて向う
田舎から出て来た青年王維が18歳の時、お向かいのご夫婦から声を掛けられ親しくお付き合いするようになった時に作られた詩です。
ご夫婦と書きましたが、女性はお妾さんです。
20句中の13句~16句で、この女性と王維が何がしかの関係を持ったと思わせる叙述になっているそうです。
その気になって、読み直してみますと、成る程と思わせる内容です。