【要領を得ず】と訓読みされまして、【どこが大事なのか、どんな筋道なのかかがはっきりしない】という意味です。
また物事をうまく処理する手順やこつと言う意味もあります。
『史記』大宛(タイエン)列伝にでている、張騫(チョウケン)の西域遠征の記事が元になった故事です。
前漢の武帝は匈奴対策に頭を痛めていました。
当時、月氏(ゲッシ)国が、匈奴に追われて遠くに移動させられていたのを知りました。
武帝はこの月氏国と同盟して匈奴を挟み撃ちにする策をたて、使者として張騫を派遣しました。
張騫は途中、匈奴に捕えられて十年以上の時間を無駄にしましたが、兎に角月氏国に辿(たど)りつきました。
ところが到着した月氏国は王が匈奴に殺され、太子が現在の王になっていて、代が替わっていました。
現在の王は父の仇を討つよりは平和に暮らす方がよいと考えていました。
竟不能得月氏要領
竟(つい)に月氏の要領を得る能(あた)わず
結局、月氏の本当の気持ちをつかむことができなかった。
【要】は腰帯、【領】は襟の意味でいずれも衣服の大事な所なので、【要領】は「物事の重要なところ」と言う意味になります。