根拠のない、でたらめな言葉をいいます。
【無稽之言】は、【稽(かんが)ふる無(な)きの言(ゲン)】と訓読みされます。
【稽】は、禾+尤+旨から作られた会意文字です。
禾:軍門に立てる標識の木の形です。
尤:死んだ犬の形で、犠牲(いけにえ)の犬です。
旨:祝詞をいれた器に対して天から神霊が降下する形です。
結局【稽】は、禾形の標識の木のもとに犠牲の犬を埋め、祝禱(シュクトウ)して降下する
神を迎え、神がいたり神をとどめることを【稽】といい、①とどまるの意味となります。
神を迎えて神意をはかることから、②かんがえるの意味にも用いられます。
「稽古」の「稽」は、②かんがえると言う意味でして、「稽古」はいにしえの道を考えることです。
日本独自の意味としまして、学習する、練習する、復習するとなります。
『書経』・大禹謨(ダイウボ)に【無稽之言】がでています。
人心(ジンシン)惟(こ)れ危く、道心(ドウシン)惟れ微(ビ)なり。
人間的な心は安定しにくく、道にかなった心は明らかにしにくいから、
惟れ精、惟れ一、允(まこと)に厥(そ)の中(チュウ)を執(と)れ。
純粋専一につとめて、心から中庸(チュウヨウ)の道を守るようにせよ。
【稽(かんが)ふる無(な)きの言(ゲン)】は聴(き)くこと勿(なか)れ。
【根拠のはっきりしない意見】は聞いてはならない。