道理に逆らって行動を起こすことを表す四字熟語です。
【倒行】は、道理に逆らって事を起こすことです。
【逆施】は、順序に従わないで行動することです。
『史記』伍子胥(ゴシショ)列伝に【倒行逆施】がでています。
宮崎市定著『史記を語る』に
『史記』列伝には物語的な要素が甚だ多いが、中でも最も物語色の強いのはどれかと言えば
それはおそらく伍子胥列伝第六であり、この右に出るものは、後世の史書にもあまり見当たら
ないであろう。
と記載されています。
伍子胥列伝第六の【倒行逆施】の前後を記載します。
呉の軍隊が郢(エイ)に入城したとき、伍子胥は昭王を捕えようとしたが、すでに出奔した後だった。
そこで平王(昭王の父)の墓をあばき、その屍を三百回も鞭打った。
申包胥(シンホウショ:伍子胥の友人)は山中に逃げていたが、人をやって伍子胥に言わせた。
いかに復讐とはいえ、おまえの仇打ちのやりかたは、ひどすぎないか。格言にも言うとおり、
『人は一時は天(運命)に勝つことが出来ても、やがては天のむくいを受けるものだ』。
おまえはもともと平王の家臣だった。その平王の亡き骸を辱めるとは、いまに天罰が下るぞ。
伍子胥曰く
伍子胥は(使者に向かって)言いました。
我が為に申包胥に謝して言え
申包胥に言ってやれ
吾、日莫(く)れて途(みち)遠し、
自分はもう年を取っているので、
吾、故に倒行して之を逆施す、と。
手段など選んだりする暇は無い
「死屍に鞭(むちう)つ」の語源になった部分です。