【毫毛にして拔かずんば、將(まさ)に斧柯を成さんとす】を略した四字熟語で、わざわいは、小さいうちに取り除いておかないと、斧で切らなければならないようになる、という意味です。
【毫毛】は、長くとがっている細い毛の総称です。
【斧柯】は、「おの」をいいます。
出典は『戦国策』魏策です。
戦国時代(B.C.403~B.C.221),合従連衡の「合従策」を主唱していた蘇秦((?~B.C.317)が、趙の肅公(シュクコウ:B.C.349~B.C.326)のために、魏の襄王(ジョウオウ:B.C.334~B.C.319)に秦と「連衡」を組まないで、秦以外の六国で「合従」を結びそうして秦に対抗するのが最善です。と説いた中に【毫毛斧柯】がでています。
周書に曰く、
『周書』に書いてあります。
『綿綿(長く続くさま)たるを絶たずんば、蔓蔓(マンマン)たるを奈何(いかん)せん。
細々としているうちに絶ち切らないと、延び広がってからではどうしょうもない。
毫毛にして拔かずんば、將(まさ)に斧柯を成さんとす。
芽生えのうちに抜き取らないと、やがては斧を必要とするようになる。
前慮、定まらずんば、後に大患有らん。
前々から思慮が定まっていないと、後になって大きな憂慮が生じましょう。
將に之を奈何せんとす。
それからではどうにもなりません。
大王、誠に能く臣に聽き、六國從親して、
大王さまが本当に臣の申し入れをお聞き入れ下さいまして、六国(魏・韓・趙・燕・齊・楚)が
合従して親和し、
心を專(もっぱ)らにし力を并(あわ)せば、則ち必ず強秦の患無からん。
専心協力いたしましたならば、必ず強秦の憂患はなくなります。