小さな物でもたくさん集まれば大きな力になるということを表した四字熟語です。
塵も積もれば山と為る、です。
『戦国策』魏策の中で、張儀(チョウギ:?~B.C.309)が秦の為に連衡(レンコウ)策を魏王に説いている時の場面です。四字熟語として【積羽沈舟】【群軽折軸:グンケイセツジク】【衆口鑠金:シュウコウシャクキン】が登場します。
臣聞く
臣が聞くところでは
積羽(セキウ)舟を沈(しづ)め,
羽も沢山積めば舟を沈め
群軽(グンケイ)軸を折り、
軽い荷物でも、沢山積めば車軸を折り
衆口(シュウコウ)金を鑠(とか)す、
口を揃えてそしれば金属をも溶かす、と。
故に願はくは大王の之を熟計(ジュクケイ)せんことを。
ですから、大王がこの点をよくお計りくださるようお願いします。
『淮南子』繆称(ビョウショウ)訓には、道徳・仁義の諸説をまとめた話がおさめられています。
ここでは【積羽沈舟】のほかに【群軽折軸:グンケイセツジク】がでてきます。
君子は、小善は為すに足らざるなりと謂ひて之を舎てず。
君子は、小善を為すに足りないとして捨てておくことはない。
小善積りて大善と為る。
小善も積み重なれば大善となるからである。
小不善は傷つくる無しと為すなりと謂いて之を為さず。
小不善を格別の支障が無いとして、行なうことはない。
小不善積りて大不善と為る。
小不善も積み重なれば大不善となるからである。
是(こ)の故に積羽、舟を沈め、羣輕(グンケイ)、軸を折る。
すなはち、羽毛も集まれば舟を沈め、軽い荷も集まれば、車軸を折る。
故に君子は微に禁(とど)む。
されば君子は、(大事に至らぬよう)小さなうちから愼むのである。