【歳寒三友】は、文人画の画題の一つを表している四字熟語です。
【三友】は、松、竹、梅の三つをいいます。
極寒のなかでも松と竹は色褪せず、また梅は寒中に花開くということから、文人の好む「清廉潔白」、「節操」を表現したものです。
始まりは、中国の宋代において、蘇軾等が竹を主題として描き始め、後に梅・蘭・菊・松と画題の広がりを見せていく中で、松竹梅の三つが頻繁に取り上げられて【歳寒三友】の画題になったようです。
元・明代には、陶磁器に描かれる主題としても好まれました。
日本では、主に陶磁器・漆器・染織に描かれることが多く、また、「鶴亀」等と組み合わせて慶事に用いられる主題として定着しています。
日本で慶事・吉祥のシンボルとなっている「松竹梅」は、中国の【歳寒三友】が日本に伝わったものと言われてます。本来の、中国での【歳寒三友】の認識(「清廉潔白」、「節操」)とは大きく異なっています。
白川静博士によりますと、
【歳】は、古い字形では戉(エツ。まさかり)の形。のち戉の刃部に止(足あとの形)を上下にかき、
今の字形では上部の「止」と下部の「小」がそれである。したがって今の字形は、「戉」と「歩」とを
組み合わせた形。
【歳】はもと戉(鉞:まさかり)で肉を切って祭る祭祀(祭り)の名前で、おそらくその祭祀が年一回
行なわれたので、その祭祀をもって年を数えたのであろう。それで歳は「とし、一年」の意味に用いる。
年を数えるのに、夏の時代は「歳」、殷の時代には「祀」、周の時代には「年」を使った。
『常用字解』の【歳】の説明です。
【歳】をサイと読むのは呉音読みで、漢音読みはセイです。
呉音読みの例:歳月人を待たず。歳時記。
漢音読みの例:歳暮。