心が広く情け深く、度量が大きいことを表します。
【寛仁】は、心が広く、あわれみ深いことを表します。
【大度】は、大きな度量で、心が広く大きいことを表します。
【度】は、席の省略形と又(手)とを組み合わせて出来た会意文字です。手で敷物の席(むしろ)を
広げる形です。席(むしろ)の大きさをものさしとして長さをはかることをいいます。それで「はかる・
ものさし」の意味となりました。
【寛仁大度】そのままの形ではありませんが類似の表現としまして、『史記』高祖本紀に、高祖・劉邦の
人柄の表現で、【仁にして人を愛し、常に大度あり】と記述されています。
高祖為人、隆準而龍顔、
高祖の為人(ひととなり)、隆準(リュウセツ)にして龍顔(リュウガン)、
高祖の人柄は、鼻が高くて龍に似た顔つきをしており、
美須髯、左股有七十二黒子。
須髯(シュゼン)美しく、左の股に七十二の黒子(コクシ:ほくろ)有り。
あごひげ、ほおひげともに美しく、左の股に七十二のほくろがあった。
仁而愛人喜施、意豁如也。
仁にして人を愛し施しを喜(この)み、意(イ)豁如(カツジョ)たり。
おもいやりがあり、人を愛し、人に施すのが好きで、度量が広かった。
常有大度。
常に大度(タイド)有り。
常に、心を広く持っていた。
不事家人生産作業。
家人の生産作業を事(こと)とせず。
家族のする仕事は、しようとしなかった。
高祖本紀では、いい感じで劉邦の性格が述べられていますが、権力を握った後の劉邦は、疑い深く、なかなか人を信用しない暗い一面が窺えるようになります。蕭何(ショウカ)伝を読むと一層その感が強くなります。