歳月がはやく過ぎ去ることのたとえです。
古代中国では、太陽には三本足の烏(カラス)が棲み、月には兎が棲むという伝説があったようです。
「烏兎」は日と月、歳月のことを言います。
「匆匆」はあわただしい様子を表します。
あわせて、歳月があわただしく過ぎ去ることを表す四字熟語となります。
「匆」は「怱」の略字です。「烏兎怱怱」もOKです。
類似の四字熟語としまして【烏飛兎走:ウヒトソウ】があります。
尭(ぎょう)帝の時代、太陽は十個あり、ある時一斉に出てきたため、大旱魃(ダイカンバツ)になりました。そこで、帝は弓の名人羿(ゲイ)に太陽を射落とすように命じました。羿は九個の太陽を射ぬき、太陽の落ちた地点を調べると、そこには射抜かれた三本足のカラスが9羽、横たわっていました。という伝説があります。
カラスの足を三本足とするのは、陰陽五行思想によるものだと言われています。陰陽五行思想では、二は陰数で太陽にふさわしくなく、陽数である三こそがが太陽にふさわしいと言うことからだそうです。
日本の八咫烏(やたがらす)も足は三本となっています。太陽がらみのようです。
月に兎がいるという伝説は、仏教説話として伝わりました。
昔「兎」と「狐」と「猿」の三匹が仲良く暮らしていました。三匹は前世の行いが悪かったため今は動物の姿になっています。人のためになるような良いことをしようといつも話し合っておりました。 これを聞いた帝釈天は、何か良いことをさせてあげようと、老人の姿になって三匹の前に現れました。
三匹は老人のために色々世話をしてあげました。兎は老人にたき火をしてもらい「私には何の特技もありません。せめて私の身を焼いてその肉を召し上がってください」と言うや、火の中に飛び込んで黒こげになってしまいました。
「兎の心がけは立派なものだ。黒こげになった姿は永遠に月の中に置いてあげることにしよう」。
こうして月には黒こげになったうさぎの姿が見えているんだそうです。
先程九個の太陽を射ぬいた話をしました羿(ゲイ)に後日談があります。
紀元前2世紀末の『淮南子(えなんじ)』には、羿が西王母という女神からもらった不老不死の薬を、その妻・嫦娥(こうが)が盗んで月へ逃げたという話がでています。そうして『後漢書』には月で嫦娥が蟾蜍(ひきがえる)に変身したとなっています。
兎がいたり、ヒキガエルがいたり、お月さんは昔からあのクレーターのお陰で馴染みやすかったのじゃないでしょうか。
「兎」も「烏」も象形文字で、「兎」の字にある点はウサギの尻尾ですし、カラスは黒くて目がどこにあるか分からないので、鳥の字から目に相当する「一」を取り除きました。
この間お正月を迎えたと思ったら、もう2月。あと4日もすれば立春です。
ホント 月日の経つのは【烏兎匆々】です。
年を取るのも早いわけです。