優れた姿で勇ましく爽やかな様子を表す四字熟語です。
【英】は、「艸+央(音符号)」から作られた形声文字です。央には美しく、盛んなという意味がありまして、
美しい花、また花の美しいことを【英】と言います。
【姿】は、「女+次(音符号)」から作られた形声文字です。「次」は人が口を開いて嘆く形です。
嘆き悲しんでいる女の人を【姿】という字にしました。
【英姿】は、すぐれた姿を表します。
【颯】は、「風+立(音符号)」から作られた形声文字です。風の音を形容する語です。
【爽】は、「大+メメメメ」を組み合わせた会意文字です。「大」は人の正面形で、四つの「メ」は
胸部に描いた文身(入れ墨)の形です。その文身は通過儀礼としてのものですから朱色で一時的に描く
絵身(カイシン)という方法だそうです。
婦人を葬るとき、外から邪霊が憑くのを防ぐため、屍の胸に朱色で「メ」印を描いた形が【爽】です。
文身の美しいことをいい、「あきらか、美しい、さわやか」の意味に用いられます。
【颯爽】は、姿などが勇ましく、きりっとしている様子を表す「擬態(ギタイ)語」です。
【颯爽】は、「擬態語」の中でもサ行音で始まる漢字を二つ重ねた「双声語」です。
四字熟語【英姿颯爽】は、杜甫の『丹青引(タンセイイン) 曹(ソウ)将軍覇(ハ)に贈る』という七言×40句からなる詩の16句目に出てきます。
『丹青引』といいますのは、丹青が赤と青と言うことで、絵画のことを言います。引は、本来琴の曲に合わせた歌のことを言いますが、一般に「歌」と言う意味に用いられています。
『丹青引』の詩は杜甫が曹覇(ソウハ)と会って、その描いた馬の絵について詩を作り、おくったものと言われています。曹覇は馬を描かせては当時、第一人者として評判が高かったそうです。
11凌烟(リョウエン)の功臣 顔色を少(か)くも
凌烟閣に描かれた功臣たちの肖像は色褪せていたが
12将軍筆を下(くだ)せば生面(セイメン)を開(ひら)く
将軍がその上に筆をおろすと、また生き生きとした容貌を見せるようになり
13良相(リョウショウ)の頭上には進賢冠(シンケンカン)
名宰相たちは頭上に進賢冠をいただき
14猛将の腰間(ヨウカン)には大羽箭(ダイウセン)
猛将たちは腰に大羽箭をたばさんで
15褒公(ホウコウ)鄂公(ガクコウ)毛髪動き
褒公や鄂公の肖像は毛髪が動くかと思われるほど、
16英姿颯爽として酣戦(カンセン)より来(きた)る
英姿は颯爽として、今しも戦いのさなかから来たように見えた。