ちょっと触れただけで大事にいたりそうな、危険な状態にあることを表す四字熟語です。
【一触】はちょっと触ることをいいます。
【即発】は即座に爆発することをいいます。大変に危ない状態です。
【危機一髪】の状態であります。
【一】は、数をかぞるときに使う算木(サンぎ)を一本横においた形です。指事文字です。
【触】の正字体は【觸】です。「角+蜀(音符号)」から作られた形声文字です。
音符号の「蜀」は牡の獣の形で、虫(キ)の部分は牡の性器の形です。
牡の獣が角で相争うことを【觸】といい、交尾期には雌をめぐって争う姿をよく見ることがあります。
角のある獣が争うとき、角をふれ合って闘うので「ふれる」の意味となり、のちすべて
「ふれる、さわる」の意味に用いるようになりました。
【即】の正字体は【卽】です。「皀(キュウ)+卩(セツ)」から作られた会意文字です。
「皀」は食器を表す字です。「卩」は跪(ひざまず)く人を横から見た形です。
【即】は食膳の前に人が跪く形で、そこから食事の席に即(つ)くの意味となります。
席だけでなく、位につくことを「即位」といい、すべて「つく」の意味に用いる。
席につくことを「即席」といい、その場の意味となり、その場にのぞんですぐすることから
「すぐさま、ただちに」の意味になる。
【発】の正字体は【發】です。「癶+弓+殳」から作られた会意文字です。
「癶」は趾(あしあと)の形で足の意味を表す止を左右対称に並べた形で、出発する時の姿勢です。
字の下部は弓を射る形です。
【發】とは開戦に先立ってまず弓を射て開戦を知らせることを言います。
それでことを「はじめる、おこる」の意味となりました。
以上 白川静:『常用字解』から引用しました。