策略をめぐらす心。いつわりたくらむ心をいいます。【機械之心】略して【機心:キシン】ともいいます。
【機械】は、巧妙なしかけの器具をいいます。ここから「たくらみ」「いつわり」の意味にも使われます。
漢和辞典にある「機械」の説明です。
① 巧妙なしかけの器具。ここから、世渡りの知恵。また、いつわり。たくらみ。
② 武器の総称。
③ (日本では)いろいろな動力によって、一定の仕事をするように作られたしかけ。
『荘子』天地篇には、【機械】、【機事】、【機心】と言う形ででています。
機械ある者は必ず機事あり。機事ある者は必ず機心あり。
仕掛けを用いる者は、必ずからくり事をする。からくり事をする者は、必ずたくらみをする。
機心、胸中に存すれば、則(すなは)ち純白備わらず。
からくり心が胸中に起こると、純真な本来のものがなくなる。
純白備わらざれば、則ち神主定まらず。
純真な本来のものがなくなると、精神や本性(うまれつき)のはたらきが安定しなくなる。
神主定まらざる者は、道の載せざる所なりと。
精神や本性(うまれつき)のはたらきが安定しない者は、道によって支持されない。
『淮南子』原道篇に、【機械之心】がでています。
故に機械の心、胸中に蔵すれば、則ち純白忰ならず。神徳全(まった)からず。
そもそもたくらみの心が胸中にあると、純白の心は濁り、精神のはたらきは不完全となる。