曲がりくねっていること、また事情が込み入って変化していることを表す四字熟語です。
【紆余】は山や丘、道、川などが曲がりくねっていることを言います。
【曲折】は折れ曲がること。また、状況が変化することも表します。
【紆】は、「糸+于(音符号)」から作られた形声文字です。意味は「まがる。めぐる」です。
音符号の「于:ウ」は先端がゆるく曲がった大きな刀を表す象形文字です。
縦棒の先端がハネてます。
「宇宙:ウチュウ」「迂回:ウカイ」「盂蘭盆会:ウラボンエ」の「ウ」はハネてます。
「于」と似た字形の「干:カン」は縦棒が真っ直ぐです。引いています。
「創刊:ソウカン」「奸佞:カンネイ」「肝臓:カンゾウ」「発汗:ハッカン」の「カン」は
引いています。
「于(ウ)ハネ、干(カン)ビキ」と覚えるのだそうです。
もっとも、お習字では楷書の場合、縦棒はシッカリ止めるそうです。
スウ~ッと引くことは無いそうです。
【余】は、「餘」が正字で「食+余(音符号)」から作られた形声文字です。意味は「あまり、あまる」です。
常用漢字では「餘」の俗字(略字)が「余」であったことから、「あまり、あまる」を表す字として「余」を
用いています。
「余」は本来「「餘」とは別字で「把手(とって)のついた手術用の長い針」を表す象形文字でした。
「余」を一人称の「われ」の意味で用いるのは、音のみを借りた、「仮借:カシャ」という用法です。
【曲】は、竹や蔓(つる)などを細くして編んで作った籠(かご)の形から作られた象形文字です。
竹や蔓などを曲げて作るので「まがる、まげる」の意味となりました。
【折】の甲骨文字は「屮+屮+斤」を組み合わせて作られた会意文字です。
二つの「屮」は草木の芽が出た形です。草木を斤(おの)で切ることを表し「おる、たつ」の
意味となりました。
四字熟語としての【紆余曲折】は中国古典には見当たりませんが、【紆余】、【曲折】は多用されています。
陸機(リクキ)『洛に赴く道中の作』の詩の一部
山澤(サンタク)、紛(フン)として【紆餘】。
林薄(リンパク:くさむら)、杳(ヨウ)として阡眠(センメン:遥か)たり。
柳宗元の文章
又、北(きた)して【曲行紆餘:キョッコウウヨ】、睨(み)れども窮(きわ)まり無きが如し
『史記』李広(リコウ)将軍伝
衛青(エイセイ)、上書して、天子に軍の【曲折】を報ぜんと欲す。
今年も【紆余曲折】いろいろありました。