【雲鬢(ウンビン) 花顏(カガン) 金歩搖(キンホヨウ)】と続きまして、
雲のように豊かな黒髪、花が咲いたような美しい顔、きらきらと揺れ動く黄金のかんざし、を表わします。
始めて、玄宗皇帝の寵愛を受けるときの楊貴妃をうたいあげた、『長恨歌』の一節です。
『長恨歌』は中唐の詩人白居易(白楽天)による玄宗皇帝と楊貴妃の恋物語です。
七言×120句、総字数840字の大変長い詩です。
1句目の「漢皇(カンコウ) 色を重んじて 傾國を思ふ」から
16句目の「此れ從り 君王 早朝せず」、までの読み下し文のみを記載しました。
漢皇(カンコウ) 色を重んじて 傾國を思ふ、
御宇(ギョウ) 多年 求むれども 得ず。
楊家に 女(むすめ) 有り 初めて 長成し、
養はれて 深閨に 在り 人 未だ識らず。
天生の麗質は 自(おのづか)ら 棄て難く、
一朝 選ばれて 君王の側(かたはら)に 在り。
眸(ひとみ)を回(めぐ)らして 一笑すれば 百媚 生じ、
六宮(リッキュウ)の 粉黛(フンタイ) 顏色 無し。
春 寒うして 浴を賜ふ 華淸の池、
温泉 水 滑らかに 凝脂を洗ふ。
侍兒(ジジ) 扶(たす)け起こすに 嬌(キョウ)として 力 無し、
始て 是れ 新たに恩澤(オンタク)を 承(う)くるの時。
雲鬢 花顏 金歩搖(キンホヨウ)、
芙蓉の帳 暖にして 春宵を度る。
春宵 短きを苦しみて 日 高くして起く、
此れ從り 君王 早朝せず。
師走に入りました。
12月1日は「映画の日」です。