小さな出来事が、大きな事故や事件の原因になることをあらわす四字熟語です。
『韓非子』喩老篇にでています
【読み下し文】 千丈(センジョウ)の堤(つつみ)は螻蟻(ロウギ)の穴を以て潰(つい)え、百尺の室は、突隙(トツゲキ)の烟(けむり)を以て焚(や)く。
「螻蟻」:ケラとアリ
「突隙」: 煙突の隙間。
「烟」: 煙。
「焚」: 燃える。
【意訳】 高さ千丈の大きな堤も蟻の穴から水が滲(し)みて潰(つぶ)れ、高さ百尺の大きな家も、僅かな隙間から入った煙がもとで焼けてしまう。
『韓非子』は五十五篇から構成されていまして、喩老篇はその内の第二十一番目の篇です。喩老篇は、韓非子が過去の歴史事件や伝説を用いて、老子の教訓を紹介している篇です。「老子について喩えをなす」ということで「喩老」と名付けられたようです。
五十五篇すべてが韓非子の自著と言う訳ではなく、この喩老篇も1973年に馬王堆(マオウタイ)からのの古文書発見以来、自著の可能性がでてきたといわれているものです。
韓非子は「法によって国を治める」のが良いという法治主義でした。いろいろな具体策の中で、現在にも通用する策を示しています。「形名参同術」と言いまして、君主が臣下に仕事を命ずる場合
① 任務遂行に必要な、人員・費用・期間等を含む計画書を事前に出させます
② 計画通りに任務を遂行します、と誓約させます
③ 臣下の実績(形)と最初の申告(名)を照合(参同)します。
④ ぴったり一致すれば恩賞を与えます
⑤ もし結果が伴わなければ、降格・罷免・投獄などの処罰を加えます。
という方法です。
いくらかアレンジして日本の公務員に適用する、というのはどうでしょうか。
民間企業ではすでにやってます。