【義を先にし利を後にす】と訓読みしまして、正しい人の道を先にして、利益の追求は後にする、という意味の四字熟語です。
中国戦国時代の魏の第3代君主恵王(ケイオウ。B.C.400年~B.C.319年)は若くして王位を継ぎました(在位:B.C.369年~B.C.319年)。
孟子にアドバイスを求めた時の会話が『孟子』梁恵王章句の上篇に載っていまして、その中に【先義後利】がでています。
苟爲後義而先利、不奪不饜。
苟(いやしく)も、義を後にして利を先にすることを為さば、奪わざれば饜(あ)かず。
義を後にして利益を先にするような輩ならば、国中奪い取るまで満足しないでしょう。
未有仁而遺其親者也。
未(いま)だ仁にして其の親を遺(す)つる者はあらざるなり。
仁の心があって親を棄てる者はいまだかってありません。
未有義而後其君者也。
未だ義にして其の君を後(あなど)る者はあらざるなり。
義の心があって君主をないがしろにする者はいまだかってありません。
王亦曰仁義而已矣、何必曰利。
王 亦(ただ)仁義を曰わんのみ。何ぞ必ずしも利を曰わん。
王よ、仁義だけを唱えなさい。どうして利益ばかりおっしゃるのです。
京都で「麸」を御商売となさっていらっしゃる老舗の家訓が【義を先にして利を後とする者は栄える】だそうです。