【覆水盆に返らず】を四字熟語にしたとき【覆水不返】となりました。
一度こぼれた水は、二度と盆にはかえらないということから、一度離婚をした夫婦は再びもとにはかえり難いことを言った喩えです。
太公望の故事としての読み下し文を記載します。
呂尚(リョショウ:太公望)初め馬氏を娶る。書を読みて産を事とせず、馬去るを求む。
呂尚は馬氏と結婚しました。本ばかり読んで、仕事をしません。
妻の馬氏は離婚を申し出て別れました。
呂尚斉に封ぜられ、馬再び合せんことを求む。
そのうち呂尚が出世して齊王になると、馬氏は復縁をせまりました。
呂尚、水一盆を取り地に傾け、婦をして水を収めしめ、惟だ其の泥を得たり。
呂尚は、盆の水を地面にこぼし、水を盆に戻させましたが、泥ばかりでした。
呂尚(太公)曰く、若し能く離れて更に合ふ、覆水定めて収め難しと。
呂尚がいいました。【覆水盆に戻らず】。
また清代に編纂された『通俗編:いろいろな言葉の出典を調べ上げた書籍』には、朱買臣(シュバイシン)の話としてでています。
もっとも『通俗編』では、太公望の故事と朱買臣の故事を宋代の人が一緒にしたものであろう、と断りを入れていますが。
朱買臣が高い地位につくと、別れた妻が馬前に再拝して、よりをもどしたいと申し出た。
朱買臣は盆の水を地上に覆(くつがえ)し、水をもとに戻すことが出来ないように、
夫婦の仲を取り戻すことができない、と自分の気持ちを述べました。
すると妻は恨みをいだいて死んでいきました。
11月22日は、『いい夫婦』の日です。
11月22日を「いいふうふ」と読ませる語呂合せが発端だそうです。
昭和63年(1988年)に提唱されまして、勤労感謝の日と組み合わせ、秋の連休となるよう祝日化を目指しているとか。