一度食事を恵んでくれただけの恩を、忘れずに報いることをあらわす四字熟語です。
『史記』淮陰侯(ワイインコウ:韓信)列伝に【一飯千金】と【韓信股くぐり】が韓信の若い時のエピソードとしてでています。
韓信が若い頃、淮陰城下の淮水(ワイスイ)で釣りをしていたときのことです。たまたま老婆たちが水中で綿を漂(さら)していました。その内の一人が、韓信が餓えているの見てとって、韓信に飯を食べさせました。それは、綿を漂し終わるまでの十日間続きました。韓信は喜んで
「わたしは、いつか必ずあなたに厚く恩返ししたいと思う」
すると老婆は怒って言いました
「大の男が自分で飯も食べられないくせに。 わたしは哀れんであんたに食事をさせたんだよ。恩返しなど望むものかね」
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漢の五年(B.C.202)正月、劉邦は韓信を楚王としました。韓信は領国に到着すると、かって食事の世話を受けた綿晒しの老婆を召して、千金を与えました。
韓信(?~BC196)は、中国秦末から前漢初期にかけての武将。はじめ項羽に仕えていましたが献策するも聞き入れてくれなかったので、楚(項羽)から逃亡して漢(劉邦)に帰順しました。「国士無双」 「背水之陣」は韓信についての四字熟語です。劉邦の元で数々の戦いに勝利し、劉邦の覇権に多大の貢献があり、張良(チョウリョウ)・蕭何(ショウカ)と共に漢の三傑と言われていました。