国を乱す悪臣(乱臣)と親に背く子供(賊子)を表した言葉です。
「乱臣」は、主君に背いて國を乱す家臣のことです。
「賊子」は、親不孝なことをして、悪い道に入ってゆく子供のことです。
いずれも、人の踏み行うべき道に外れ、悪事をはたらく者と言う意味です。
『孟子』滕文公(トウブンコウ)下にでてくる四字熟語です。
昔者禹抑洪水、而天下平。
昔者(むかし)禹(ウ)、洪水を抑(おさ)めて、天下平(たいら)かなり。
昔、禹が洪水を治めたので、天下はおかげで安定した。
周公兼夷狄、驅猛獸、而百姓寧。
周公、夷狄(イテキ)を兼(しりぞ)け、猛獣を駆(か)りて、百姓寧(やす)し。
周公は蛮族を退け、猛獣を遠くへ追い払ったので、人民ははじめて安らかになった。
孔子成春秋、而亂臣賊子懼。
孔子、春秋を成(つく)りて、乱臣・賊子懼(おそ)る。
その後、孔子が『春秋』を作ったので、【乱臣賊子】は恐れるようになった。
孟子(約B.C.370年~約B.C.290年)の活躍していた時代は、戦国時代(B.C.403年~B.C.221年)の前半でした。
小国・滕(トウ)の文公が孟子にどのような政治を行なうべきかを問いました。
孟子は、儒教的な方法に則って政治を行なうように助言し、文公はこれに従いました。
そのあたりのお話が、『孟子』滕文公・上下篇に記述されています。
古代から今に至るまで【乱臣・賊子】は絶えることがなかったのですね。