必要以上に、世話を焼くこと。を表します。老婆心と同じ意味合いです。
【老婆心+切】となりまして、【切】は、「しきりに~する」という意味で、【しきりに老婆心をかける】と言うことになります。
【切】は、①きる、②きざむ、③みがく、④さしせまる、⑤しきりに、などの意味があります。
【老婆心切】の【切】と同じ意味で使われているのが次の言葉です。
「親切:シンセツ。しきりに親しむ」、
「懇切:コンセツ。しきりに懇(ねんご)ろにする」
「痛切:ツウセツ。しきりな痛さ」、
「適切:テキセツ。しっかりと適(かな)う」等々。
いずれも「しきりに~する」という意味で結びついています。
『臨済録』行録(アンロク)に【老婆心切】がでています。
師(臨済)、大愚(タイグ)を辭(ジ)して、
師は大愚(タイグ)和尚に別れのあいさつをすると、
黄檗(オウバク)に却囘(キャッカイ:退き戻る)す。
再び黄檗和尚のもとに帰って来ます。
黄檗、來たるを見て便(たちま)ち問ふ、
黄檗は、それを見るとすぐに質問します、
這(こ)の漢(おとこ)來來(ライライ)去去(キョキョ)して、
お前という男は行ったり来たりばかりして、
什麼(なん)の了期(リョウゴ)か有らん。
いつになったらケリがつくのだ。
師云く、祇(た)だ【老婆心切】なるが爲なり。
師(臨済)は言いました。これも師(黄檗)の親身のお心遣いのためです。