人と人との結びつきは因縁という考え方により起こっていて、お互いによく気が合う縁の【合縁】、普通の常識では考えられない不思議な縁の【奇縁】を合わせて【合縁奇縁】と言います。
仏教で【縁】と言うのは、物事の原【因】となる【因】を助けて、その結【果】となる【果】を結ばせる力を言うようです。
前世(あるいは現世)の善悪の所行(ショギョウ)である(業:ゴウ)によって、善悪の原【因】が生じ、この【因】が【縁】の助けによって現世(あるいは来世)の善悪の結【果】が生じると考えるのだそうです。
【合縁奇縁】は、特に男女、夫婦間で使う場合が多いようです。場合によって友人や親子関係などにも使うようです。
近松門左衛門の浄瑠璃『心中宵庚申:しんじゅうよいこうしん』に【合縁奇縁】が使われています。
エエかはいひや。利発なやうでも女心。母の詞(ことば)を真実と思ふか。
言やることが皆嘘ぢや。さりながらきのふもくれぐれ言ふとほり、
仏法の端(はし)も聞き入れ物の慈悲も知つた人。
我が甥をさしのけ他人の身どもに、跡式(あとしき:財産)譲る心からは、根から歪(いが)まぬ
これ証拠。
人には【合縁奇縁】、血を分けた親子でも中の悪いがあるもの。