心が正しくなく、恥知らずであることを表す四字熟語です。
【寡】は、宀+頁+人を組み合わせた会意文字です
宀は祖先を祭る廟(みたまや)を表します。文字全体としては、葬儀のとき
礼装として喪章をまとった人が廟の中で神霊を仰いで嘆いている姿を横から
見た形です。意味は「やもめ」「すくない」です。
【廉】は、广+兼から作られた形声文字です。广は建物を表します。意味は「かど」
「すみ」です。「すみ」を固く守ることから、廉直(正直で曲がったことをしない)
の意味で「いさぎよい」の意味にも使われます。
【寡廉】は、【寡(すくな)い廉(いさぎよさ)】となります。
【鮮】は、魚+羊から作られた形声文字です。部首は「魚」です。意味は「あざやか」
「あたらしい」「すくない」です。
「鮮少(すくないこと)」のように「少ない」の意味に用いるのは,「セン」という「すくない」を表す
音のつながりからです。
【恥】は、耳+心から作られた会意文字です。心に恥じることがあると、まず耳が赤くなり、
はじらいが耳に現れるものであるから、【恥】は「はじる、はじ」の意味となりました。
【鮮恥】は【鮮(すくな)い恥(はじいり)】となります。
【寡廉鮮恥】の【寡】と【鮮】を除いた【廉恥】は、心が正しく恥を知るという意味です。
恥を恥とも思わない行為を「廉恥」を破るということから、「破廉恥」となりました。
『史記』司馬相如(シバショウジョ)列伝に【寡廉鮮恥】がでています。口語訳を紹介します。
巴蜀二郡の太守に告ぐ、という檄文(ゲキブン)の一節です。
・・・・、かかる結果となるのは、ただ使者の随行者たるべき者たちのみの罪である、
とは言えない。
父兄たる者、日頃の教訓を怠ったために、子弟が謹んで教えに従おうとしなくなった
のである。
そのため【廉恥の心が少なくなり】、この地の気風が優良でなくなった。