墨で書かれたあとが、勢いがあり生き生きとしている様子を表した四字熟語です。
元気のあふれる様子も表します。
主に書道・絵画の作品について、その勢いのあるさまを表します。
【墨:ボク】は、黒+土からできた会意文字で「すみ」を表します。
【痕:コン】は、疒+艮からできた形声文字で、「あと。きずあと」を表します。
【墨痕】で、墨で書いた筆の跡をいいます。
【淋:リン】は、氵+林からできた形声文字で、「そそぐ。したたる」を表します。
【漓:リ】は、氵+离からできた形声文字で、「しみる。したたる」を表します。
【淋漓】は、水がしたたる、勢いのあるさまをいいます。
中国古典で【墨痕淋漓】、とまとまった四字熟語は見当たりませんでしたが、日本の文学作品には、いくつか見られます。
高山樗牛『滝口入道』では
【墨痕淋漓】として乾かざれども、波静かにして水に哀れの痕も残らず。
安部公房『榎本武揚』では
熱田神宮鳥居ぎわ、下馬札わきの高札に、坊主、不浄の輩、入るべからずの触、
【墨痕淋漓】と見ゆるぞ。
島崎藤村『夜明け前』では
【墨痕淋漓】としたその真剣さは反って彼女の胸に迫った。
今日は『文化の日』です。
昭和21年(1946年)に日本国憲法が公布された日であります。半年後の
昭和22年(1947年)に日本国憲法が施行され、5月3日も「憲法記念日」として祝日となりました。
昭和23年(1948年)に公布・施行された祝日法で11月3日が「文化の日」と定められました。
真摯に『篆刻』を極め、伝承なさっていらっしゃる方【墨痕淋漓】の作品を。