【天壌(あめつち)窮(きわ)まり無し】と訓読みしまして、
天地は永遠に極まりなく続くことを表した四字熟語です。
『日本書紀』神代下に、天孫降臨のとき、天照大神(あまてらすおおみかみ)が
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に賜ったという「天壌無窮の神勅(シンチョク)」の中にでています。
葦原(あしはら)の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂(みずほ)の国は、
豊かな葦原で、秋になると稲穂がたくさん稔る國は
是(こ)れ吾(あ)が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり。
私の子孫が統治する地です。
宜しく爾皇孫(いましすめみま)、就(ゆ)いて治(しら)せ。
なんじ皇孫(瓊瓊杵尊:ににぎのみこと)よ、これから行って統治しなさい。
行矣(さきく)、寶祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、
つつがなくお行きなさい。宝祚(天皇の御位)が栄えることは、
当(まさ)に天壤(あめつち)窮(きわま)り無かるべし。
天地と共に限りなく栄えるでしょう」
この【天壌無窮】の四字熟語が1200年ほど後になって『教育勅語』の中に蘇(よみがえ)りました。
朕(ちん)惟(おも)フニ、我(わ)ガ皇祖皇宗(コウソコウソウ)國ヲ ・・・・に始まり、
・・御名御璽(ギョメイギョジ)。で終わる、あの『教育勅語』です。「璽」は常用漢字です。
勅語には十二の徳目が述べられています。
十二の徳目
1)父母ニ孝ニ (親に孝養を尽くしましょう)
2)兄弟ニ友ニ (兄弟・姉妹は仲良くしましょう)
3)夫婦相和シ (夫婦は仲睦まじくしましょう)
4)朋友相信シ (友だちは信じ合いましょう)
5)恭儉己レヲ持シ (自分の言動を慎みましょう)
6)博愛衆ニ及ホシ (広く全ての人に慈愛の手を差し伸べましょう)
7)學ヲ修メ業ヲ習ヒ (勉学に励み職業を身につけましょう)
8)以テ智能ヲ啓發シ (知識を養い才能を伸ばしましょう)
9)德器ヲ成就シ (人格の向上につとめましょう)
10)進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ (世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
11)常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ (法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう)
12)一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ (国に危機があったなら勇気をもって国に尽くしましょう)
以テ【天壤無窮】ノ皇運ヲ扶翼スヘシ (永遠に続く皇室の運命を助けるようにしましょう)
教育勅語は。明治23年(1890年)の今日、発布され、昭和23年(1948年)6月19日に国会の決議により廃止されました。