ゆったりとした気持で学問や芸術を深く味わうことを表した四字熟語です。
【優游】は、ゆったりとした余裕のある様子を表します。
【涵泳】は、水にひたって泳ぐことから、ゆったりひたり味わうことを表します。味わうのは学問・芸術です。
【優】は、「人+憂(ユウ:音符号)」から作られた形声文字です。「憂」は頭に喪章をつけた人が
哀しんで佇む姿です。喪に服して哀しむ人の姿を(ユウ)と言い、また葬儀の時、死者の
家族に代わって神に対して憂えを表現する人でもありました。
ふたり並んで演じる様子が「俳」です。ある動作をして舞い歌うこと、またその人達を
「わざおぎ」といいます。いわゆる役者、「俳優」を言います。
【游】は、「氵+斿(ユウ:音符号)」から作られた形声文字です。「斿」は旗竿(方)と吹き流しを
掲げて外に旅することを表した字です。斿は游、遊の最初の字形です。
意味は、「あそぶ。およぐ。ゆく」です。「あそぶ」のは神様が「あそぶ」ことだそうです。
海の神様があそぶ様子を「游」、陸の神様があそぶ様子を「遊」で表したのだそうです。
【涵】は、「氵+函(カン:音符号)」から作られた形声文字です。
意味は「ひたす。しずむ。うるおう」です。
【泳】は、「氵+永(エイ:音符号)」から作られた形声文字です。意味は「およぐ」です。
そもそも「永」は象形文字で、流れる水の形を見て作られた字です。
「永」は水が合流して勢いよく流れる様子が長く続くことから、とくに時間が「長く久しく」
続くことから、「ながい」の意味となりました。
【優游涵泳】の出典は、南宋の儒学者朱熹()による『論語』の注釈書『論語集注(シッチュウ)』です。
為政篇の解説の中で、この【優游涵泳】を使っています。
為政篇に孔子の自伝と言われています章句
吾十有五にして学に志し、
三十にして立ち、
四十にして惑わず、
五十にして天命を知り、
六十にして耳順い、
七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰(こ)えず。
の注釈を施す中で、【一以て學者當に優游涵泳すべし】とでてました。