すぐれた人は、使い道が決まっている、器物のようなものではない。
『論語』為政篇に出ている言葉です。論語の中でも大変に短い文章です。
子曰、君子不器。
子曰く、君子(クンシ)は器(うつわ)ならず。
孔子が言いました。
すぐれた人は、使い道が決まっている、器物のようなものではない。
(すぐれた人と言うのは、いろんなことに長じていて、大局を見ることの
できる人を言います。)
孔子は、君子を「為政者」の意味で使っていたようです。
ですから、後世の解釈として器を使いこなす人、と言うのもあります。
君子は、使い道が決まっている、器物のようなものではなく、
むしろその器を使いこなす人のことだ。
現代では、『君は器(うつわ)だ』と言われると、
普通は「度量のある一廉(ひとかど)の人物」と言われたような気になりますし、なんとなく褒められたような気分になります。
言った人も多分そんな積りだったのでしょう。