自分の苦しみを、訴えて救いを求めることのできない人達をいいます。
古代中国の民を言う言葉です。
堯舜以来、今日に至るまで続く、救われない庶民のことでもあります。
また、頼る者のない天涯孤独な人。貧者、老人、孤児、未亡人などをいいます。
【無告之民】は『書経』大禹謨(ダイウボ)にでてきます。
中国古代の禹(ウ)が言いました。
君が君たることの難しさを心得、臣が臣たることの難しさを心得るようになったならば、
政治は、初めてよく治まる
帝舜が言いました
その通りだ。本当にそのようになるならば、万国はすべて安らかに治まることであろう。
(人の上に立つものとして)、
衆に稽(かんが)へ、己(おのれ)を舎(す)てて人に從(したが)ひ、
衆人の考えを聞くようにし、自分のことを棄てて人の善に従い、
無告を虐(しいた)げず、困窮(コンキュウ)を廢(ハイ)せざるは、
訴え所もない民を虐待することなく、困窮しているものを見捨てることをしない。
惟(こ)れ帝時(こ)れ克(よ)くす
こういうことは帝堯なればこそよくできることなのだ。