【酔(よ)うを惡(にく)みて酒を強(し)うる】と訓読みされまして、酒に酔うことはよくないと思いながらも、無理に酒を飲むことをいいます。
望んでいることと、実行することが違っている、という意味でもあります。
これを国に当てはめた時には、亡国の戒めとなります。
『孟子』離婁(リロウ)章句上篇にでています。
【悪醉強酒】に辿りつくまで、記述がくどいように感じます。各階層ごとの例を挙げて説明すると、こうなるんでしょう。
孟子曰く、三代の天下を得(う)るは仁を以てし、
孟子がいわれた。夏・殷・周の三代が天下を得たのは、仁政を行ったからであり、
其の天下を失えるは不仁を以てせり。
それが天下を失ったのは、不仁の政治を行ったからである。
國の廢興存亡する所以(ゆえん)の者も亦(ま)た然(しか)り。
諸侯の国々の興廃、存亡する原因もまた同じである。
天子不仁なれば、四海を保(やす)んぜず。
天子が不仁ならば、天下を保つことはできない。
諸侯不仁なれば、社稷(シャショク:土地と穀物の神。国家の守護神)を保(やす)んぜず。。
諸侯が不仁ならば、社稷すなわち国家を保つことはできない。
卿(大臣)大夫(上級家老)不仁なれば、宗廟を保(やす)んぜず。
卿や大夫が不仁ならば、先祖の宗廟すなわちその家を保つことができない。
士(一般家臣)庶人不仁なれば、不保四體を保(やす)んぜず。。
士や庶民が不仁ならば、自分ひとりの身体さえ安全に保つことができない。
今死亡を惡(にく)みて不仁を樂しむは、
今の人々は、死んだり亡んだりするのを忌み嫌いながら、不仁を楽しんでいるのは、
是れ由(なお)酔うを惡みて酒を強(し)うるがごときなり。
あたかも酔うことを嫌ってしかも強い酒を無理やり飲むようなものだ。
【悪醉強酒】は、諄々(くどくど)と述べるほどに、大切なことなんですよ。と言っているんだろうと思います。
来年4月の消費増税が正式に決まりました。
来年度の増収は5兆円余り、
大半は社会保障の今の水準を保つ財源に充てる。
「充実」に使えるのは5千億円ほどにとどまる、とのこと。