【万里、風を同じうす】と訓読みされまして、
はるかに遠い地方の果てまでも、同じ風が吹くと言う意味です。
【風】は風俗という意味ですから、【同風】で、同じ風俗になると言うこです。
結局【万里同風】は、天下が統一され平和に治まり、はるかに遠い地方の果てまでも、風俗・文化が同じになることを表す四字熟語です。
出典は『漢書』終軍(シュウグン)伝です。
前漢七代武帝が雍(ヨウ)に行った際(B.C.113年)、白麟(ハクリン)を捕らえました。
また、横に伸びた枝がもう一度木にくっついているという奇妙な木も見つけました。
武帝が群臣にそれが何の兆候であるか尋ねたところ、終軍が上書して言いました。
そもそも天子が天命を受けた当初は、万事が草創の時期でありますが、
今天下爲一 万里同風。
今、天下一(イツ)と為(な)り、万里風(フウ)を同じうす。
今、天下が統一され、はるかに遠い地方の果てまでも、風俗・文化が同じになりました。
白麟を獲(え)、曲木を得(え)たことは、もろもろの地方が中国の教化を求めてやってくる
兆しです。
数ヵ月後、越の地方及び匈奴の王が投降してきました。
人々は終軍の言うとおりだと言いました。
『漢書』によりますと、終軍という人は皇帝に進言できるほどの大変優秀な人で、尚且つ二十数年という非常に短い人生を走り抜けたひとでした。
【万里同風】は逆算しますと、亡くなる一、二年前の出来事でした。