雲が集まり霧が散るように、集まったかと思うとすぐに消えてなくなってしまうことです。
多くの人が集まったり散ったりすることをいいます。
【雲集霧散】は、『漢書』の編纂で知られる班固(ハンコ:32年~92年)が著(あらわ)した
「両都賦:リョウトフ」の中の「西都賦:セイトフ」にでています。
鳥には則ち玄鶴(ゲンカク:くろづる)、白鷺(ハクロ:しろさぎ)、黄鵠(コウコク:はくちょう)、
鵁鸛(コウカン:こうのとり)、鶬鴰(ソウカツ:まなづる)、鴇鶃(ホウゲキ:のがん)、
鳧鷖(フエイ:かも)、鴻鴈(コウガン:かり)あり。
朝(あした)に河海を發し、夕に江漢に宿し、
あしたに黄河・北海を飛び立ち、夕べに江水・漢水に宿るが、
沈浮(チンブ)往来して、
ゆき帰りにはここで沈んだり浮いたりしてから、
【雲の如く集まり霧のごとく散ず】。
雲の如く集まり、霧のごとく散っていく
「両都賦」は前漢の長安を「西都賦」で、後漢の洛陽を「東都賦」で謳い、二つの首都のどちらが優れているかを比べた賦(韻文の一形式)です。結局は、洛陽(東都)に軍配を上げました。
『文選』賦篇のトップに所収されています。
雲と霧を含んだ四字熟語に【雲散霧消:ウンサンムショウ】、【雲消霧散:ウンショウムサン】、
【雲合霧集:ウンゴウムシュウ】などがあります。
【雲散霧消】・【雲消霧散】は同義です。中国古典に四字熟語としては見当たりませんでした。
雲が散り霧が消え去るように、今まであったものがあとかたもなく消え失せることをいいます。
【雲散霧消】の対義の四字熟語が【雲合霧集:ウンゴウムシュウ】で、『史記』淮陰侯列伝にでています。
天下初めて難を發するや、俊雄、豪傑、號を建(た)てて一呼せば、
天下で秦末、乱が発生した時、各地の英雄豪傑が王と称して一声かけると、
天下の士、【雲合霧集】し、魚鱗襍遝(ザットウ)し、
天下の志ある者は、雲や霧が集まるごとく、魚が群れを成すごとく、
熛(ヒョウ)として至り風と起こる。
飛び火や風のごとく、す早く立ち上がりました。
この雲、霧が竜巻となるに及んでは、たまったもんじゃありせん。