国勢が振るわず、国家の運命が危ういことを表す四字熟語です。
【艱難】は、苦しみ悩むことです。「艱難辛苦」の四字熟語があります。
明治元年(1868)8月23日、戊辰戦争で会津藩の白虎隊が城下の町に火の手が上がったのを会津城が落城したものと思い、城下の飯盛山で自刃しました。
明治17年(1884)、旧制会津中学で漢文科の教鞭を執っていた佐原盛純(さはらもりずみ)は日新館館長の依頼により、「白虎隊」の詩を作り、剣舞とともに飯盛山の墓前に奉納されました。
7言×20句の長い詩ですが、全文を読み下し文として掲げました。
【国歩艱難】は2句目にでています。
1 少年團結す、白虎隊
2 國歩艱難(コクホカンナン)堡塞(ホサイ)を戍(まも)る。
3 大軍突如 風雨來(きた)り,
4 殺氣 慘憺(サンタン)、白日晦(くら)し。
5 鼙鼓(ヘイコ)喧闐(ケンテン) 百雷 震(ふる)ひ,
6 巨砲 連發して 僵屍(キョウシ) 堆(うづたか)し。
7 殊死(シュシ) 陣を突きて 怒髮(ドハツ) 立ち,
8 縱橫(ジュウオウ) 奮撃して 一面 開く。
9 時 利あらず 戰ひ 且(か)つ 退き,
10 身には 瘡痍(ソウイ)を 裹(つつ)み 口には 藥を 含む。
11 腹背(フクハイ) 皆な敵 將(まさ)に 何(いづく)にか行かんとす,
12 劍を 杖(つゑつ)き 閒行(カンコウ) 丘嶽(キウガク)を 攀(よ)づ。
13 南 鶴が城を 望めば 砲煙 颺(あが)り,
14 痛哭 涙を 呑みて 且(しばら)く 彷徨(ホウコウ)す。
15 宗社(ソウシャ) 亡(ほろ)びぬ 我が事 畢(をは)る,
16 十有六人 屠腹(トフク)して 僵(たお)る。
17 俯仰す 此(こ)の事 十七年,
18 之(これ)を畫(ゑが)き 之(これ)を文にして 世閒に傳ふ。
19 忠烈 赫赫(かくかく) 前日の如く,
20 壓倒す 田横(デンオウ) 麾下(キカ)の賢(ケン)。
最後「20 壓倒す田横麾下の賢」の意味は
白虎隊の殉忠は、漢初の斉王田横の部下が、田横に殉じた故実以上に、優れて凌いで
いるものである。
です。
8月23日「白虎隊自刃の日」。