四季の変化による自然界や人間界のいろいろな現象を、そのまま客観的に詠ずるのを、俳句の基本理念とすることを表す四字熟語です。
高浜虚子が提唱し、ホトトギス派の基本理念となった言葉でもあります。
【諷】は、節づけて読む。また、うたうと言う意味です。
【詠】は、うたうと言う意味と、日本では特に和歌をよむ、という意味があります。
【花鳥諷詠】は昭和3年(1928)刊行された『虚子句集』の自序の中で初めて使われた言葉です。
花鳥諷詠と申しますのは花鳥風月を諷詠するといふことで、一層細密に言へば春夏秋冬
四時の移り変りに依って起る自然界の現象、並びにそれに伴ふ人事界の現象を諷詠するの
謂(いひ)であります。
と書いています。そうしてそれが新しい説ではないとしまして
(花鳥諷詠は)何も新しい議論ではなく俳句本来の性質を説明したまでの言葉であるが、
我が伝統俳句本来の性質は此の言葉の外には出ない。
と言ってまして、更に
花鳥諷詠といふ四文字は、私が初めて遣った言葉でありますが、これは決して新しい
言葉ではない。芭蕉も花鳥風月といふ言葉をよく使っているし、其他の俳人も同じ様な
意味のことを言っている。だから花鳥諷詠といふ言葉は、昔から今迄の俳句の一貫した
性質を言ひ現した言葉であって、特に私が自分の説を主張する為に言ったといふやうな、
さういう第二義的なものでは無いのであります。
とも言ってます。
虚子の俳句、春夏秋冬一句づつ、独断で選句しました。
春:鎌倉を驚かしたる余寒あり
夏:行水の女に惚れる鴉かな
秋:桐一葉日当たりながら落ちにけり
冬:遠山に日の当たりたる枯野かな
今日 8月19日は『俳句の日』です。
正岡子規研究家の坪内稔典氏らの発案で、「8」「19」を「は」「いく」の語呂合わせで
平成3年 (1991年)に制定されました。