自己の言動が前と後で食い違って、辻褄が合わなくなることを言います。
【撞着】の【撞】は、「つ・く。つきあたる」の意味です。【着】は助字と言いまして【撞】を強調しています。【撞着】となりまして「辻褄が合わない」ことを表します。
【著】と書くこともあります。【着】は【著】の草書体が変化した字で、【著】の俗字として使われていました。後【著】は、あらわす、いちじるしい、あきらかの意味に用いられ
【着】は、きる、きせる、つく、つけるの意味に使われるようになりました。
『禪林類聚:ゼンリンルイジュウ』の看経門(カンキンモン)にでています。
須弥山(シュミセン)は高くして嶺(みね)を見(あら)はさず
須弥山は高くてその頂上を現すことなく、
大海の水は深くして底を見(あら)はさず
大海原は水深くてその底を現すことがない。
土を簸(あふ)り塵を揚げ尋ぬる処(ところ)無く
土埃(つちぼこり)を煽(あお)りあげて、尋ねる所も分からず、
頭(こうべ)を回(めぐ)らせば撞着す、自家の底と。
振り返って見ても、自分自身どこをどうして来たのか見当もつかない
【自家撞着】は、『禪林類聚』にあるような意味でもつかわれるのでしょうが、いまはむしろ
人の言動や文章が前後で矛盾していることを表す四字熟語になっています。