人の性質を四っ並べた言葉です。
『論語』の学而篇にでているのですが、原文では更に【譲】が加わって、五つの徳となっています。
【溫】は、おだやかさ。
【良】は、たちがよくて素直。
【恭】は、うやうやしさ。
【倹】は、きりりとしまりがある。
【譲】は、ひかえめ。へりくだって人と争わない。
孔子は56歳のとき祖国魯をでて弟子を連れ、14年間に渡る諸国遍歴にでかけます。
その途中での出来事だったのでしょう。
子禽(シキン)が兄弟子の子貢(シコウ)に問いました、
先生(孔子)はどの邦(くに)に行かれても、政治の相談をかけられますが、
これは先生から持ち掛けたものでしょうか、
それとも先方から持ち掛けられたものでしょうか、と。
子貢はこれに答えました、
それは、先生がおだやかで・すなおで・うやうやしくて・きりりとしまりがあり・へりくだる、という
五つの徳を備えたお人柄であるから、自然に先方から持ち掛けられたのだよ。
(もちろん、先生は天下の政治を良くしようとして諸国を巡っておられるのだから)
先生の方から話しを持ち掛けたこともあるが、
おそらくその求め方は、
世間の人のいわゆる求職猟官とは大いにちがう。
結局14年の諸国遍歴は失敗に終わり、魯に戻って、弟子たちの教育に専念し、
B.C.479年 73歳の生涯を閉じました。