わが身を修め家庭を斉(ととの)えることを言います。儒学で政治家の理念を説いた四字熟語です。
国を治めようとした人は、それに先だって家を斉えました。
これをスタートとしまして順次、身、心、意、誠、知、といきまして、物に格(いた)るとなります。
『格物』は物の本質にいたる、とでも言うのでしょうか。
『格物』は古來学者の論議を集めているとかで、数十種類の異説があるんだそうです。
『格物』まできますと、こんどは逆に知、誠、意、心、身、家、と進んできまして、国治まる。そののち天下平らかなり。となります。
儒学の四書の一つ『大学』にでています。原文と読み下し文を記載します。口語訳は読み下し文とあまり差がないので省きました。
古之欲明明徳於天下者、先治其國。
古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、まずその国を治む。
欲治其國者、先齊其家。
その国を治めんと欲する者は、まずその家を斉う。
欲齊其家者、先脩其身。
その家を斉えんと欲する者は、まずその身を修む。
欲脩其身者、先正其心。
その身を修めんと欲する者は、まずその心を正しくす。
欲正其心者、先誠其意。
その心を正しくせんと欲する者は、まずその意を誠にす。
誠其意者、先致其知。
その意を誠にせんと欲する者は、まずその知を致す。
致知在格物。
知を致すは物に格(いた)るに在り。
物格而后知至。
物格ってのち知至る。
知至而后意誠。
知至ってのち意誠なり。
意誠而后心正。
意誠にしてのち心正し。
心正而后身脩。
心正しくしてのち身修まる。
身脩而后家齊。
身修ってのち家斉う。
家齊而后國治。
家斉いてのち国治まる。
國治而后天下平。
国治まってのち天下平らかなり
【修身斉家治国平天下】とまとめて言われることもあります。