【駟(し)も舌(した)に及ばず】と訓読みされます。
一旦口から出た言葉は、四頭立ての馬車で追いかけても、追いつくことは出来ない。言葉は慎むべきだと言う意味です。
『論語』顔淵篇にでていることばです。
棘子成曰。君子質而已矣。何以文爲。
棘子成(キョクシセイ)曰く、君子は質のみ。何ぞ文を以て為さん、と。
衛の大夫棘子成が、君子は中身が充実していればそれで良い。
何も身を修め飾るということをする必要はない、と言いました。
子貢曰。惜乎。夫子之説君子也。
子貢(シコウ)曰く、惜しいかな、夫子(フウシ)の君子を説くや。
これを聞いた子貢は、残念ながら貴殿の君子論はちよっと違いますね。
駟不及舌。
駟も舌に及ばず。
一旦口から出た失言は、四頭立ての馬車でも取り返すことが出来ないと云います。
文猶質也。質猶文也。
文は猶ほ質のごとく、質は猶ほ文のごときなり。
文化的素養と、人間としての本質は同一のものでありまして、
文なくして質はなく、質なくして文もありません。
虎豹之鞟。猶犬羊之鞟。
虎豹の鞟は猶ほ犬羊の鞟のごとし。
虎や豹の美しい毛並みを、剃り落としたなめし革だけでは
犬や羊のなめし革と何ら変らなくなるではありませんか、と言いました。
【文質】につきましては『論語』雍也篇に【文質彬彬:ブンシツヒンピン】の四字熟語として解説がなされています。
『今日の四字熟語』 No.197 【文質彬彬】
http://fukushima-net.com/sites/meigen/237
でも取り上げています。