前は傲慢な態度だったのに、急に態度をがらりと変えて、相手にこびへつらうようになることを表した四字熟語です。
【倨】は、偉そうに構えて威張ることを表します。「おごる」には他に 次のような「おごりかた」があります。
「奢る」:贅沢をする。人に御馳走をする。
「侈る」:無駄遣いをする。贅沢をする。
「驕る」:自分の勢力や財力・才能などを誇り、人を見下す。
「傲る」:偉そうにして人を見下す。増長する。
蘇秦は鬼谷(キコク)先生を師として学び、やがて国をでて、諸侯を遊説してまわったが、どこも用いる
ことがなく、困窮の果てに帰ってきた。しかし、妻は、はたおり機を下りず、兄嫁は彼の為に
食事を作らなかった。
その後、同盟の長となり、六ヶ国の宰相を兼務することになった。
郷里洛陽に立ち寄ったときの様子は、、王者のようであった。
これを見た兄弟や妻、兄嫁などは恐れて彼から目をそらし、思い切って正視することができず、
ただ平身低頭して、食事をすすめるばかりであった。
蘇秦、笑ひて曰く、
【何ぞ前には倨りて後には恭(うやうや)しきや】、と。
【どうして前は威張っていたのに、今、後になってそのようにうやうやしいのか】
兄嫁が言うには、
「あなたは身分が高くなり、金持ちになったからです。」
蘇秦は(人情の軽薄なのにあきれて)ため息をついて言いました、
「私は一人の人間で何の変わりも無いのに、出世すれば、親戚も恐れてびくびくし、貧しくなれば、ばかにする。まして他人はなおさらだ。
もし、私に洛陽郊外の田がいくらかでもあれば、六国の宰相になることができただろうか。」
こうして、莫大な金をばらまいて、親族や友人にわかち与えました。