【柔よく剛を制す】と読まれ、使われています。
しなやかなものは弱そうに見えても、かたいものをうまくそらして、勝つことができる、ということを表した
四字熟語です。
『三略』という兵法書の上略篇に記載されています。
軍讖曰
軍讖(グンシン:戦いについての予言書)に曰く、
軍讖にいう。
柔能制剛、弱能制強。
柔よく剛を制し、弱よく強を制す、と。
柔はよく剛を制し、弱はよく強を制す、と。
柔者徳也、剛者賊也。
柔は徳なり、剛は賊なり。
柔であることは徳であり、剛であることは賊である。
弱者人之所助、強者怨之所攻。
弱は人の助くるところ、強は怨みの攻むるところなり。
弱は人に助けられ、強は人に攻められる。
柔有所設、剛有所施、
柔は設くるところあり、剛は施すところあり、
柔も設けるところがあり、剛には施すところがある。
弱有所用、強有所加。
弱は用うるところあり、強は加うるところあり。
弱には用いるところがあり、強には加えるところがある。
兼此四者、而制其冝。
この四つのものを兼ねて、その宜(よろ)しきを制す。
この四つのものを兼ね備えるのがよろしい。
【柔能制剛】を更に読み進んでいきますと、上述よりはもう少し分かり易い説明が出てきます。
柔でもあり、剛でもあることができるなら、その国はいよいよ光り、
弱でもあり、強でもあることができるなら、その国はいよいよ顕著になる。
もっぱら柔だったり、もっぱら弱であれば、その国は必ず削られ、
もっぱら剛であったり、もっぱら強であれば、その国は必ず滅ぶ、と。
柔道で【柔よく剛を制す】と言われていたそうですが、今はどうなんでしょう。