君子が人を教育する様子を、雨が草木をうるおし、生育させることを表す四字熟語です。
【時雨】は、ほど良い時に、ほど良く降る雨のことを言います。訓読みしますと「しぐれ」ですが、ここでは関係ありません。
『孟子』盡心(ジンシン)上に出てきます。
孟子曰、君子之所以教者五、
孟子曰く、君子の教うる所以(ゆえん)の者五つ、
孟子が言いました、君子の教え方は、五通りである。
① 有如時雨化之者、
時雨の之を化するが如き者あり。
第一は、ほど良く降る雨が自然に草木を養育するようなやり方である。
② 有成徳者、
徳を成さしむる者あり。
第二は、本人の徳性を完成させるというやり方である。
③ 有達財者、
財(サイ:才能)を達せしむる者あり。
第三は、本人の才能を十分に達成させるというやり方である。
④ 有答問者、
問に答うる者あり。
第四は、ただたんに質問に対して答えるだけというやり方である。
⑤ 有私淑艾者、
私(ひそ)かに淑艾(シュクカイ)せしむる者あり。
第五は、間接に教えを受けて自分で修養させるというやり方である。
此五者、君子之所以教也。
此の五つの者は、君子の教うる所以なり。
この五つのやり方は君子がそれぞれ本人の個性に応じて、
人を教育する方法である。
第一から第五にいくに従って、教える人と教えられる人との繫がりが薄くなっているようです。