大きな事業を計画して、それを成し遂げようとすることを表した四字熟語です。
【図南】は、南の果ての海に向かうことを表します。
【鵬翼】は、大きな鳥の翼。
【図南鵬翼】は、南の果ての海に向かって、大きな鳥がはばたいて行くことから、大きなことを成し遂げようとしている喩えを表すようになりました。
『荘子:ソウジ』の逍遥遊篇にでています。
『荘子』は荘子(荘周:ソウシュウ。B.C.369年?~B.C.286年?)の著書とされています。内篇七篇・外篇十五篇・雑篇十一篇の三十三篇で構成されています。
内篇のみが荘周その人による著書で、ほかは後世の偽書であるとの見方が一般的です。
有 鳥 焉 , 其 名 為 鵬
鳥あり、其の名を鵬(ホウ)と為す。
鳥がいて、その名は鵬(ホウ)という
背 若 太 山 , 翼 若 垂 天 之 雲
背(せ)は泰山(タイザン)の若(ごと)く、翼は垂天(スイテン)の雲の若し
背中は泰山を思わせ、翼は大空に垂れこめた雲のようである。
摶 扶 搖 羊 角 而 上 者 九 萬 里
扶搖(フヨウ・つむじかぜ)を摶(う)ち羊角(ヨウカク)して上る者九万里。
つむじ風にはばたき、輪を描いて、九万里のぼり、
絶 雲 氣 , 負 青 天 , 然 后 圖 南
雲気(ウンキ)を絶(た)ち、青天を負ひ、然る後に南を図(さ)し、
雲の上に出て、晴天を背にし、そこで始めて南方を目ざして
且 適 南 冥 也 。
且(まさ)に南冥(ナンメイ)に適(ゆ)かんとす。
南冥に行く。
このあと、斥鷃(セキアン:みそさざい)が鵬の【図南鵬翼】を見て、呆れている様子が記載されています。
『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』を言っているのかなとも思われます。