勝手気ままで、したい放題に悪いことをすることを表した四字熟語です。
【放】は、ほしいまま、わがままの意味です。
【辟】は、かたよっていることを表します。
【邪】は、よこしまの意味です。
【侈】は、おごりたかぶることを表します。
孟子は戦国前期、B.C.370年頃、魯の近くの鄒という国に生まれました。
孔子の孫の子思(シシ)に学び、学者としての名声も高くなり學団を形成するようになりました。
あるとき、孟子は斉の宣王(センオウ:B.C.319~B.C.301)に招かれました。
その時の問答の中に【放辟邪侈】の四字熟語が使われました。
王曰く、願わくば夫子(ふうし)吾が志を輔(たす)け、明らかに以て吾を教えよ。
王が言いました、先生、どうか私の志を助け、もっとはっきり教えてください。
我不敏なりと雖(いえど)も、請(こ)うこれを嘗試(こころ)みん。
私は不肖(おろか)ながらも、なんとかやってみたいと思います。
曰く、恒産無くして恒心ある者は、
孟子がいいました、安定した収入がなくても安定した心を持てる、
惟(ただ)士のみ能くすと為す。
そんなことができるのは、ごく少数の学問や教養のある人達だけです。
民の若きは、則ち恒産無ければ、因(よ)りて恒心無し。
一般の人達は安定した収入なしでは、とても安定した心を持つことができません。
苟(いや)しくも恒心無ければ、放辟邪侈(ほうへきじゃし)、為さざるなし。
安定した心がなければ、やりたい放題やるわ、逆恨みするわ、悪いことをするわ、
浪費するわ、なんでもやります。
罪に陥るに及びて、
(それを知っていながら、とめる工夫もしないで)いざ犯罪を犯すとなると、
然る後従いて之を刑(つみ)するは、
すぐさま、きびしく処罰するのは
是れ民を罔(な)みするなり。
これこそ、人民をないがしろにした政治です。
一定の職業をもって、ほどほどの収入がないと、安定した良心や道徳心というものは持つことができません。
だからしたい放題、どんな悪いことでもやってしまうのです。
【貧すれば貪す】です。