きわめて軽いものでも沢山積めば重くなって、それを載せた車の軸が折れてしまうことを表している四字熟語です。
【群軽、軸を折る】と訓読みされます。
『戦国策』魏策の中で、張儀(チョウギ:?~B.C.309)が秦の為に連衡(レンコウ)策を魏王に説いている時の場面です。
天下の游士、日夜腕を搤(ヤク)し
天下の游説の士にして、夜となく昼となく、ぐっと腕組みして、
目を瞋(いから)し齒を切して、以て從の便を言ひ、
目を怒らせ齒を食い縛り、合従の便益を述べたてて、
以て人主に說かざるは莫(な)し。
人主に献策しない者はありません。
人主其の辞(ジ)を覽(と)りて,其の說に牽(ひ)かる。
人主がその言葉を受け入れ、その說に心引かれては、
悪(いづく)んぞ眩(くら)むこと無きを得ん哉(ヤ)。
目をくらまさないで済みましょうか。
臣聞く
臣が聞くところでは
積羽(セキウ)舟を沉(しづ)め,
羽も沢山積めば舟を沈め
群軽(グンケイ)軸を折り、
軽い荷物でも、沢山積めば車軸を折り
衆口(シュウコウ)金を鑠(とか)す、と
口を揃えてそしれば金属をも溶かす、と。
故に願はくは大王の之を熟計(ジュクケイ)せんことを。
ですから、大王がこの点をよくお計りくださるようお願いします。
【群輕折軸】に続いて【衆口鑠金】の四字熟語も出して、張儀は魏王に連衡策を納得させました。
【衆口鑠金】は『今日の四字熟語 No.478』で紹介しています。
同義の四字熟語としまして
【羽翮飛肉:ウカクヒニク】 【積羽沈舟:セキウチンシュウ】
【積水成淵:セキスイセイエン】 【積土成山:セキドセイザン】
【叢軽折軸:ソウケイセツジク】 【聚蚊成雷:シュウブンセイライ】
【点滴穿石:テンテキセンセキ】
などがあります。【塵も積もれば山となる】も同じです。