【金玉、堂に満つ】と訓読みされます。
黄金や珠玉が、部屋に一杯になっていることを表しています。このことから、才能や学識が豊かであることを表す四字熟語です。
【金玉満堂】の四字熟語も『老子』第九章では、逆説的表現で用いられています。
持(じ)してこれを盈(み)たすは、
器に水を一杯にして、こぼすまいと心配しながら持っているくらいなら
その已(や)むに如(し)かず。
一杯になる前に、入れるのをやめればいい。
揣(きた)へてこれを鋭くすれば長く保つべからず。
鍛えて鋭く尖らせた刃物は長持ちしない。
【金玉堂に満つ】れば、これを能(よ)く守る莫(な)し。
金銀財宝を部屋いっぱいにしてしまうと、とても守り切れたものじゃない。
富貴にして驕(おご)れば、自らその咎(とが)を遺(のこ)す。
出世して偉そうな顔をすれば禍のもと。
功成り名遂(と)げて身退(しりぞ)くは、天の道なり
成功して名を挙げたなら、さっさと引退するのが天の道というものだ。
最期の文章『功成り名遂(と)げて身退(しりぞ)くは、天の道なり』と類似の文章が『老子』の中で他にもあります。
第二章 功成りて居らず
成功したからといって、その地位にしがみついたりしない。
第十七章 功成りて事遂げて、百姓皆我を自然と謂う。
(無為の政治が行われている世では)人民が、功成り事を遂げても
(君主のお陰ではない)自分達の力でそうなったのだと思っている。
第三十四章 功成りて名を有せず。
(道は万物を生みだすという)偉大なことをしたからといって、
名を誇るようなことはしない。
『功成りて身退く』
潔い生き方と思います。