行ったり来たりすることを言います。
「一往一来」は、「あるときは往、あるときは来」の意味で「一」が使われています。
【一:イチ。イツ】にはいろいろな意味があります。『大漢和辞典』には、23種類もの意味が載っていました。
四字熟語【一往一来】は 『荀子:ジュンシ』賦(フ)の中にでてきます。
「賦」といいますのは、詩歌の一つの形式ですが、現存の『荀子』「賦」篇には、五つの謎々(なぞなぞ)が記載されています。
山から生まれて家の中に住みついている。
知恵もなく巧みな技術もないが、上着や裳(も。スカート)をこしらえ
盗みやコソ泥をするわけでもないのに穴をあけてはくぐりぬけて進みます。
夜も昼もばらばらのものを合わせて美しい装飾を作り上げ、
多くの民に衣服を着せ、王たちを美しく飾り立てるものはなんでしょう。
私は愚かでそれが何か分かりません。
王様、お教え下さい。
王曰く、其の尾を長くして、其の剽(さき)を銳くする者か。
王が答えました。うしろの尾を長くひき、尖端を鋭く尖(とが)らせたものであろう
頭は銛達(センタツ)にして尾は趙繚(チョウリョウ)なる者か。
頭はとがって鋭く尾は長くてまつわりつくものであろう。
【一往一來】,尾を結びて以て事を為し、
往ったり來たりして結び合わせて仕事を進め、
羽なく翼なきも,反覆すること甚(はなは)だ極(すみや)かなり。
羽も翼もないのに繰り返しはすばやい。
尾生じて事起り,
(針の目に糸を通して)尾ができると仕事がはじまり、
尾邅(めぐ)りて事已(おわ)る。
尾がぐるぐる廻って仕事が終わる。
夫れ是れを箴(はり)の理と謂う。
そもそもこれを針のすじみちという。答えは「箴(はり)」である。
現在、慣用によりまして、針を「縫い針」に、箴を「箴言(いましめ)」に、鍼を「鍼灸(シンキュウ)」に
用いています。