あまり目にしない、また聞いたことのない四字熟語と思います。
御存じの方がいらっしゃれば、その方は中国古典に相当お詳しい方と推察いたします。
古代のインドと中国の名医と言われている、二人のお名前を連ねて四字熟語にしたものです。
【耆婆:キバ】さんは、お釈迦様のお弟子さんで、医療を7年間学び、本国マガダに帰り
多くの人に医療を施しました。またお釈迦様の風疾を治したり、アヌルダという人を
失明から救ったり、アーナンダという人の瘡(ソウ:ふきでもの)を治療したりして
名医と尊称されるようになりました。
彼は仏教に深く帰依したと伝えられています。
【扁鵲:ヘンジャク】さんの伝説は『戦国策』、『韓非子』、『淮南子』、『史記』などに
記されています。
その中で『韓非子』喩老(ユロウ:老子にたとう)篇に記載されているエピソードです。
名医の扁鵲が蔡(サイ)の桓候(カンコウ)に拝謁した時の事。
「わが君には肌理(はだすじ)に病気があります。治療しないと根が深くなるでしょう」
と申し上げました。
桓候は無いものを直して手柄にしようとしていると思い、
「私に病気はない」と言いました。
その後10日経って拝謁した時には病気は皮膚まで達し、また10日後には胃腸に
まで達していたが、桓候は聞き入れなかった。
次の10日後に拝謁した時には扁鵲は何も言わずに帰ってしまいました。
桓候が人をやって尋ねさせると、
「これまでは治療法もありましたが、今病気は骨髄に達しています。
もはやどうすることも出来ません」と言って秦の国へ行ってしまいました。
桓候はその5日後亡くなりました。
韓非子が【耆婆扁鵲】を例に出して言いたかったことは、
老子63章の「天下の大事は必ず細より作(お)こる」です。
小さなことをそのままにしておくと、それが積み重なって大変なことになる。だから
大事に至る前に、ことが小さいうちに処置しておくこと。を言いたかったようです。
今日は『世界赤十字デー』です。
赤十字の創始者であります、スイスのアンリ・デュナンの誕生日が1828年の5月8日であることに由来するのだそうです。
1864年にジュネーブ条約が結ばれて国際赤十字が誕生しました。
日本は明治19年(1886年)に加盟しました。