【悪を遏(とど)め、善を揚(あ)ぐ】と、訓読みされます。
悪事をとどめて、善事をすすめることを表す四字熟語です。
【遏】は、辶+曷 の形声文字です。 とど・める、そこな・う の意味があります。
熟語の【遏雲:アツウン】は、空行く雲をも、とどめると言う意味ですが、それほどに
すぐれた音楽を表します。
【曷】を共通にした字としまして、
【喝:カツ。叱る】、【渇:カツ。かわく】、【葛:カツ。かずら】、
【褐:カツ。粗末な服、こげ茶色】、【掲:ケイ。かかげる】、【謁:エツまみえる】などがあります。
【出典】は『易経』大有(タイユウ)です。
古代の易は、六本の筮竹を使って占います。上の方においた三本の筮竹が『火』を表し、下の三本が『天』を表していることから
火在天上、大有。
火 天上に在るは、大有なり。
火が天の上にある。これは(火が照らす範囲が天という広大なものであるから)
『大有』と名付ける。
君子以遏惡揚善、
君子以て惡を遏(とど)め善を揚(あ)げて、
君子はそこで、悪いことは止(とど)め、すなはち悪事には刑罰もってあたり、
善いことには、褒賞を与えて人民を統治すること。
順天休命。
天の休命(キュウメイ)に順う。
これが、天のよき命に従う所以(ゆえん)である。
類義語としまして
【勧善懲悪:カンゼンチョウアク】 善良な人や、行ないを奨励し、悪人や悪事を懲らしめること。
があります。