蘭の花が砕け散り、玉が折れ割れる意味から、賢人や美人などが、その魅力を十分に発揮しないまま、
世を去ってゆくことを表した四字熟語です。
『世説新語』言語篇にでています。
毛伯成(モウハクセイ)、既に其の才気を負い、常に称す、
毛伯成はかねてその才気を自負して、いつも言っていました。
寧(むし)ろ蘭摧玉折を為(な)すも、
たとえ蘭となって折れ、玉となって砕けようとも、
䔥敷(ショウフ)艾榮(ガイエイ)を作(な)さじ、と。
䔥(よもぎ)となって敷(はびこ)り、艾(よもぎ)となって栄えたくない。
【毛伯成】は人名ですが、詳細は不明です。
【䔥】は、キク科の多年草。「よもぎ」のことを言います。
【艾】は、「よもぎ」の一種といわれていますが、雑草という意味でも使われます。
大昔、香草を焚(た)いて神を祀(まつ)るという、儀式めいたことが行われていたそうです。
その時に、天子は「鬯:チョウ。鬱金草」、諸侯は「薫:クン。蘭の一種」、大夫は「蘭芝:ランシ。香草」、士は「䔥:ショウ。よもぎ」、庶人は「艾:ガイ:よもぎ」を用いたそうです。